蠢蝦螽蟷昆蟲記

sawadaidae.exblog.jp

保津峡カミキリ探索Ⅱ

やっとブログが日付に追いつきました.溜めているとだめですね・・・

6月1日
 またまたやって参りました保津峡!今回は別ルートで散策をしてきました.天気は快晴とはいかないものの清々しい陽気.仄かに初夏の香りがします.
b0218371_16302541.jpg
 今回利用した尾根林道は両側に多数のリョウブが生えており,もちろん吹き上げであるため,リョウブが開花した暁には大変なことになりそうである.ここのポイントの嬉しい所はカエデを道沿いに一定の間隔で植栽しているので,青いカミキリの絶好な発生場所になっていることだ.本日は天気が悪く1個体飛翔が見られたが,あと1・2週間後には楽園になっていることだろう.
b0218371_16304477.jpg
ヒメヒゲナガカミキリ Monochamus subfasciatus subfasciatus Bates, 1873.
 いつの間にか服にくっついていた.

 カミキリのあまり来ないバカウツギには大型の美しいジョウカイが多数来ていた.エリトラの肩の部分に強い光沢があればキンイロジョウカイと同定できる.私の好きな紫色のカラーリングなので迷わず毒瓶に入る虫だ.
b0218371_16465414.jpg
キンイロジョウカイ本州・四国亜種
Themus episcopalis purpureoaeneus Yajima et Nakane, 1988.

 本州のキンイロジョウカイは原名亜種ではなく,北九州産がThemus episcopalis episcopalis Kiesenwetter, 1874.である.ちなみに南九州だとThemus episcopalis satsumanus Nakane, 1988. という別亜種になるので面白い.緑がかった美しい紫の色合いなのだが,大隅ではヒメキンイロジョウカイしか得られなかった.残念.

 しばらく進んで行くと尾根にナラ枯れを起こしたコナラの大木を発見.カシノナガキクイムシ(以下カシナガ)による穿孔痕がたくさん残っており,枯死した原因は一目瞭然.カシナガは養菌性キクイムシと呼ばれるように体内にアンブロシア菌を持っており,坑道内に生育した菌が幼虫の資源になっている.
b0218371_1712045.jpg
このような大木をも枯らすカシナガ・・・恐ろしい.根元にフラスは溜まっていなかったことから,カシナガが侵入して間もないのだろうか.

 このようにカシナガが増えることで,得をしている昆虫も多い.まずカミキリムシ.適度に菌が回った状態で枯れ始めるのでシラケトラやキイロトラ,ミドリカミキリなどが好んで集まってくる.そして,今回大量に得ることができたこの虫.
b0218371_17172581.jpg
ルイスホソカタムシ Gempylodes lewisii Sharp, 1885.
 カシナガの坑道に侵入しようと膨大な数が材表面を歩いていた.キクイムシの坑道に侵入するため,非常に細長く,甲虫の中でも異形の形をしている.ホソカタムシの中でも群を抜いて人気なのも頷ける.
b0218371_17264573.jpg
カシナガの坑道に侵入を試みるルイスホソカタムシ.だが,先客がいたようだ.

 もう一種,カシナガの恩恵を受けていると思われる珍しい虫が得られたのだが,この虫は一度で良いから捕ってみたいと思っていた種で,まさかこのような形で出会うとは思っていなかった.東南アジアの焼畑などでは個体数は多いのだが,日本ではどういう環境で採集できるのか見当も付かなかったので,今回は良いことを知ったと思う.

 コナラ枯死木を眺めているとクロホソナガクチキが運動会を始めていた.むう,カシナガはナラ食いの穿材性甲虫にとっては神のような存在だな・・・クロホソを摘みながら樹皮をルッキングをしていると,明らかに初見である甲虫が目に付いた.
 !!??・・・一瞬思考が停止したが,脳内のカミキリリストを照合してもErrorが発生.カミキリではない.もっとよく近づいて見てみると,やっとFamilyが特定できた・・・
ヒゲナガゾウムシか!!

b0218371_17474417.jpg
ナガフトヒゲナガゾウムシ Xylinada striatifrons Jordan,1895.
すげぇ!やべぇ!!かっけぇ!!!素でこんな声を漏らしてしまった.とにかくデカい.ミツギリゾウムシに匹敵する大きさ.(横幅は遥かに本種のが大きい)
b0218371_175073.jpg
手に持つとその大きさが分かる.
 もう今日は帰れるな・・・と帰り支度をしながら最後に樹皮の捲れた剥がせそうな部分に網を当て,クロホソの追加を狙おうとした.樹皮を剥がすとバラバラと大型甲虫が網の中へ入っていく.どうせゴミダm・・・・・・・・・
b0218371_1801240.jpg
!!!!!!??????うおおおおおお!!
 原色甲虫図鑑を参照しても「」となっている虫なのだがこれは凄い!合計で20頭近くが樹皮下に潜んでいた.ヒゲナガゾウムシのくせに夜行性なのか・・・
b0218371_1841971.jpg
樹皮下で静止している個体.

 ナラ枯れが全国的にも問題になっているので,本種のような珍品が普通種に落ちるのも時間の問題かもしれない.
b0218371_188054.jpg
天候も雲が出てきて気温も下がってきており,クリの花も一部分しか咲いておらず,大したカミキリの追加も望めないので(何よりヒゲナガゾウによる満腹感が大きい)この時点で下山を開始.アカシジミなどの写真を撮りながら帰路に着いた.
b0218371_1881180.jpg
アカシジミ Japonica lutea Hewitson, 1865.
 学名が日本を代表している他,種小名の lutea は黄色を意味するので何処かしっくりこないチョウである.

b0218371_1882625.jpg
本日の採集品.ナガフトヒゲナガゾウムシが無ければボウズに近い内容.

やはりここは素晴らしい場所である.如何せんノリウツギやブナ等がないため,他の有名ポイントより見劣り感があるが,7月までの繋ぎには十分使える場所だと思う.
[PR]
by wriggle00 | 2013-06-02 18:25 | Cerambycidae