蠢蝦螽蟷昆蟲記

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淡路マイマイ開拓

2月9日
4度に渡り淡路島へ行ったにも拘らず,マイマイカブリを拝めなかった.この失態を挽回するべく,5度目の淡路島へ単身で出撃.なんとしてでもマイマイを得るため,今回のターゲットはマイマイカブリのみ.(今までは何かの「副産物」で採集出来ればと思っていたのだが,その程度の覚悟では捕れない虫だと悟った.)

淡路島の山地は極度に乾燥が進んでいるため,山地における個体数はかなり少ないものと予測し,今回は池沼オンリーで掘ることにした.地図で入念にポイントを選定し,(交通費をケチって北淡のみに絞った)早朝4時に大阪を出発.7時には1か所目の沼に到着した.

1か所目ではマイマイが入りそうな木・崖は無数にあるものの,掘っても掘ってもゴミムシ1匹出てこない.
周りの環境からもカタツムリが多数生息しているとは言えず,数十分で移動.
これを繰り返し沼を転々と渡り歩く事態に.こうなってくると焦りが出始める.
序盤で不調なのは良くある事だが,今回は期待が高かった候補地で悉く惨敗.これでは早朝から出てきたというのにこれではまずい.


・・・






時刻は正午.




毒ビンにはまだ虫が1匹も入っていない.


そして早くも最後の候補地である沼・・・

周りの環境を見て落胆する.ここでは捕れない.




午前中を全て使って回った沼の数,10以上.それらの環境と大して変わらないからだ.
事前に見た地図上(航空写真)では大小様々な池沼が至る所にあり,どこでも捕れるだろうと思っていたのだが・・・

そこで,iPhoneで地形図を見てみると納得がいく情報が.北淡の池沼周辺は起伏がかなり激しく,池畔が直接山の斜面に繋がっていた.(山と山の間の谷に沼があるイメージ)私の思い描いていた環境は,池畔林にニセアカシアやハンノキが生えるような河川敷+湿地のような環境.なるほど,この地形・環境では理想の池畔林に出会えないわけだ.

午後13時を回ったところで前回行ったポイント(南淡)の環境と,今回選定したポイントの相違が理解できたのだった.



昼食を摂らぬまま,高速に乗り南淡方面へと急ぐ.念のためこちらのポイントも選定しておいてよかった・・・・・・・・・・
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1時間も費やし到着したのはこのような護岸された池.池畔林そのものは貧弱だが,周辺に流れる細流にはハンノキやバッコヤナギが自生し,河川林のような環境を作っている.とりあえず崖を掘ってみると,アオゴミムシ,ニセコガシラアオゴミムシなどがわらわらと降ってくる.やっと当たりのポイントを引いたようだ.
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池の近くにあった竹林を抜けると,カヤツリグサなどが生える湿地のような環境が出現.木の洞には大量のカタツムリも見られた.

しかし,マイマイの入りそうな崖も倒木も皆無である.ここまで来て坊主なのか・・・・・・・・・・・・・・



その怒りにも悲しみにも似た「やり場のない感情」を思わず傍にあったバッコヤナギにぶつけ,渾身の力を込めて幹を蹴った.
その衝撃で木の先端の部分枯れが粉砕され周囲に散らばる.

かつてウスバカミキリが穿孔していたのであろう.木くずが大量に舞い落ち,目の中にも入ってしまった.まさに泣きっ面にハチである.
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この木の先端が落下してきた.

経験上,蹴って砕け散るような材にマイマイが入っているとは思えない.


コンビニにでも行こうと荷物をまとめた.

今回の採集の出費は大きく,「これなら別のオサムシでも掘りに行けばよかった」と考えるほど気分はマイナス思考に傾いていた.





しかし!!!!!!












俯くと地面に散らばった先ほどの木片の一部が動いているのが目に入る.



何らかの生物が下いるのだろうか.



この大きさの木片を動かせるものがこの時期にいるとするなら・・・・・





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オオォォオヾ(゚д゚*三*゚∀゚*三*゚д゚)ノシオォォオオ!!!!!!

っしゃあああああ!!!!ついに捕ったった!!!!でけぇよ!!!!!!!やべえよ!!!!!wwww

・・・取り乱しました.





一言で言うと「凄い」.今までのマイマイカブリとは重量・力・迫力が桁外れである.福江島の最大個体と比べるとまだまだ小さいが63mmもある.私の手持ちのマイマイカブリの中では間違いなく最大個体となる.

高い位置の部分枯れ・・・全くのノーマークであった.もしや大型個体はそのような場所でしか越冬しないのか?

以降,自分の身長より高い位置にある朽ちた部分を徹底的に攻める.
3m程の位置なら登って枯れた部分を切り落とし,地面で解体作業を行った.





その結果,1♂,3♀を追加することができた.いずれも大型の個体である.(♀は全て60mmを超えている.)
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大型の♂個体.55mm
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躯部分の形状が素晴らしい♀個体.
先ほどの♀よりは小さいがそれでも60mmは確実に超えている.

採集出来る範囲のものは全て得ることが出来たため,周辺にある池をカーナビで調べて最後の悪あがきをすることにした.夕暮れが近いので追加する
にはこれがラストチャンスになる.

池に着いてみると,予想よりしょぼい環境だった.池畔林は無く,ノイバラが生い茂る草原があるだけ.ノイバラを掻き分けて突入するも,掘れる部分は何故か土が盛り上がったこの箇所しかなかった.
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極僅かな期待を膨らませ,ススキの根元を掘ってみる・・・・
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なんと,5頭×2の集団越冬が出現.
しかし,サイズを見てみると50mm程度の個体ばかり.土に入る個体はやはり小さいのか・・・?


これを最後にコンビニに直行,10時間分のカロリーを摂取し帰路に着いた.

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今回の最大個体.63mm ♀
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エリトラ側面のラインもそうだが,全体の色が濃い印象.
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最大♂.
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♀に対して♂はかなり細身である.脚部も長い.
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大阪市淀川産のコマイマイ(手持ち最大)との比較.
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身体の厚さが・・・・・・・・・


今回の総括

北淡は地形図を見ると起伏が激しく,池畔も直接山の斜面に繋がって池畔林(湿地)が発達しにくい場所であることが分かった.
このような土地であるので、周辺の水田は棚田が多い.
一方,南淡は周囲を標高の高い山に囲まれ,その山の麓から一帯が平野になっていた.

南部山系からの豊富な水により,麓には大型の池が多く,かつ池湖畔及び周辺の細流にはハンノキやバッコヤナギが自生し河川林のような環境を作っている.淡路島の山地は極度に乾燥が進んでいるため,山地における個体数はかなり少なく,このような環境に依存しているものと推察される.


ともあれ,今回の採集は非常に充実したものになった.やはり島のマイマイは面白い.
隠岐や屋久島,福江島の個体もいつか「掘り」で捕ってみたいものだ.


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by wriggle00 | 2014-02-23 15:13 | Carabidae