蠢蝦螽蟷昆蟲記

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ニッポンモモブトコバネカミキリ

〔材採集:大隅半島〕
植物名:ヤブニッケイ
 大阪はやっと梅雨らしくなり,連日雨模様.標本や材にカビが生えないよう注意を要する季節である.大隅材はトゲヒゲトビイロとタキグチモモブトが出た後音沙汰無かったが,再び羽化が始まった.最初に羽化した個体は私の部屋の急激な気温変化に刺激を受けた奴らだろう.(当時カーテンが無く西日が材に直撃していた)
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ニッポンモモブトコバネカミキリ
Merionoed(Ocytasia) formosana septentrionalis Tamu et Tsukamoto, 1952

 日本には他に以下の3亜種が,各島嶼に分布しています.原名亜種は種小名「formosana」が示す通り台湾に分布している.亜種小名septentrionalisは「北部」を意味するので,我が国がこの亜属の北限なのだろうか.ちなみに本亜種のタイプローカリティは以外にも京都だったりすので,緯度的にも頷ける.
アマミモモブトコバネカミキリ
M. formosana rubriventris Hayashi,1962
オキナワモモブトコバネカミキリ
M. formosana okinawana Ohbayashi et N.Ohbayashi,1965
ヤエヤマモモブトコバネカミキリ
M. formosana iriomotensis Ohbayashi et N.Ohbayashi, 1965
 私は上記の3亜種は採集済みだったのですが,本亜種だけは機会がなく得ることが出来ていなかったので地味に嬉しい.そこまで珍しい種群ではないのだが,個人的には♂中脚附節の形状がたまらない.非常にエロい.気になる方は実際に見て下さい.虫屋を喜ばせるためとしか思えない形状をしているのが分かります.
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♂個体側面から.野外でも動きは鈍い.
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飛び立つ前動作.後ろ足を目一杯縮ませ,ジャンプしながら飛び立つ.この時に後脚脛節末端の棘をスパイクとして使用する.
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飛翔中を撮影しようと試みたがふわふわと不規則に飛ぶため困難であった.これが私の限界.惜しかった・・・
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他の亜種に比べると最も黒っぽい印象がある.
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by wriggle00 | 2013-06-26 21:39 | Cerambycidae

保津峡カミキリ探索Ⅲ‐悲劇‐

極力採集に行った日にブログを更新したいのですが,なかなか上手くいきません.

6月16日
連日の真夏日.
 近畿には梅雨は来ないのだろうか.この日の最高気温は35℃を超えており,外に出るのが億劫な程だった.しかし休日はどこかで網を振ってないと気が収まらないので,またいつものポイントへ.
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素晴らしい景色.電車から降りただけで汗だくになる
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道脇のクマノミズキは五分咲きくらい.
 こう熱いと花に来る虫の種は制限されてくるが,今回はどうだろう.花を掬うと大量のハナムグリが空一面に舞う.網の中にも大量のハナムグリが入り,とても鬱陶しい.カミキリはツマグロハナとミヤマホソハナが殆ど.アオカミキリらしきものが視界に入ったのでガードレールの上に立って狙撃を試みる.
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ミヤマホソハナカミキリ Idiostrangalia contracta Bates, 1884
 花上を飛び回っているアオカミキリは,どうやら谷下のカエデから発生したようだ.観察していると,クマノミズキやアカメガシワ,ネムノキ,カエデなどの一番高い枝に一瞬だけ止まり,また飛び立つという行動をしていた.ネットインした個体もすべてオスだったので,メスを求めて枝から枝へランダムで飛び回っているものと考えられる.うーん.同じアオでも平地と山地では少し行動が違うのかもしれない.今回観察した一連の行動はオオヒゲブトハナムグリの♂の様だった.
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アオカミキリ Schwarzerium quadricolle Bates,1884
林道に入り,日陰をぶらぶら.いつもチェックしているしょぼいライトポイントへ.
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白熱電球を勝手に水銀灯に変えたい.下部に虫が隠れられる隙間があるため,そこをほじくると色々出てくる.
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クビアカサシガメ Reduvius humeralis Scott,1874
 灯火に来たのだろうか,クビアカサシガメがいた.このサシガメはノリウツギやリョウブ等の花で得られることが非常に多い.幼虫時代はゴミを体に付着させていて興味深い.ウスバカゲロウの巣があるような大きなクヌギ,コナラなどの根元付近で見つかるが,あまり多くはない.この灯火では他にゴホンダイコクコガネ,オオゾウムシ,ナガフトヒゲナガゾウムシ,ワモンサビカミキリ等が確認できた.
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その後は林内の伐採ポイントを散策したが,暑さのためか虫は少なめ.目ぼしいものは吹き上げでアオマダラタマムシを得たくらいだった.
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クロホシタマムシ Ovalisia virgata Motschulsky, 1859 広葉樹の伐採木にいた個体.炎天下はタマムシ採集に向いているので,午後は林縁を掬いながら伐採木を見て回ることに.

・・・しかし,この後不幸が襲う.

 前回ナガフトヒゲを得たような,カシナガによって枯死したコナラの大木があるポイントへ.ナガタマムシや各種トラカミキリが数多く飛来している.根元付近にはキノコゴミムシやキノコムシも多いので,木の近くに寄ろうと,ガードレールを跨ごうとする.

 その時だ,コナラの幹に大型の甲虫が飛来したのが分かったのだが,どうやら丁度自分から反対の位置に着地した模様.高速で移動する甲虫がハッキリと認識できる.

ッ!!!!オオムツボシ!!!!!!!!!

見間違えることはない.ここまで大きい・・・いや巨大なムツボシタマムシは日本では他に存在しない!どうアプローチするか考えていると,なんとこの個体はその場で静止をし始めた.どうやら産卵している様子.
これはシャッターチャンス!カメラを構えて慎重に近寄る.いいぞ・・・あと50センチ・・・40センチ・・・・・・・・
 
 間もなくオオムツボシにピントが合おうという瞬間,突然後ろから人の影が・・・・その影に驚いたオオムツボシは,一瞬で飛び去る.わぁ・・・・オオムツボシの腹板ってあんなに緑色なんだ・・・・・って・・・ええええええええええええええええ????!!!!
おっさん「なにやってんですか?」私「あんたがなにやってんだよ!!!うわーうわー・・・」・・・この後このおっさんと10分弱言い争うことになったが,もう訳がわからない.最悪だ・・・ムツボシ系は非常に目が良く,少しの影でも瞬時に反応して飛び去ってしまうのに・・・写真も撮れず後味の悪い抗論でテンションはガタ落ちである.尚,このポイントで1時間程粘ったが,再びオオムツボシが飛来することはなかった.
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今回の成果.オオムツボシを捕り(撮り)逃がした後はろくに網を振らずに下山したため微妙な戦績.下山中,光り輝いて飛んでいくオオムツボシの姿がずっとフラッシュバックしていた.
オオムツボシ・・来週は絶対に捕ってやる・・・・
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by wriggle00 | 2013-06-24 23:32 | Cerambycidae

金緑色の風

6月7日
 振替休日として休みだったので,以前から目を付けていた保津峡のカエデを見に行ってきた.保津峡とは言っても今回の場所は嵐山の入り口付近.先週の採集の帰りに見つけたポイントだ.先週は1個体の飛翔のみだったが,本日はどうだろうか.
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クリの花は満開状態.無数のベニカミキリが飛んでいる.

 ここの道沿いはカエデが非常に多い.少なくとも10mに1本以上は生えていると思う.そのすべてに食痕が認められるため,個体数も多いものと予測.
 
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天気は快晴.12時までが目的の昆虫の飛翔のピークなので,自然と急ぎ足に.

 ・・・と,カエデの並木を歩いていると,後脚をハの字開脚し「ふわーーーっと」飛ぶ甲虫が.そう.この甲虫こそ今回の目的のカミキリムシである
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アオカミキリ Schwarzerium quadricolle Bates,1884.
 よし!!今年初アオカミキリにして近畿初アオカミキリである!やっぱり良い虫だ.たとえ珍しくなくてもアオカミキリは別格だ.大きすぎず小さすぎない手ごろな大きさなのも良い.この個体は若干赤みがかっているが,大体〆ると緑色になる.
 1頭を得ることで心に安心感が生まれ,焦りがなくなった.ここからが本番である.正午までにどれだけの個体数を稼げるかがアオカミキリ採集の醍醐味なのだ.
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絶好の狙撃ポイントを発見.10m以上のカエデなのだが,この上からなら全面をカバーできる.
 時間は11時.気温は30℃と申し分ない.アオカミキリ祭りの始まりだ!!
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ほいっと!2頭目!
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はい,3頭目!!
 こんな感じに次々と飛来してくるがこの時間帯は殆どが♂個体であった.6頭目を追加したところで時刻は正午.かなりの炎天下である.こうなるとアオカミキリの飛翔数は減ってくるので,昼飯を食べることに.午後はクリの花にいる残党とカエデのルッキングに切り替える.
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こんな背の低いカエデにもいることがあるので注意.
 カエデにはアオカミキリの他にもマスダクロホシタマムシなども良くいるがこいつらは何をやっているのだろう.ホストはスギやヒノキの筈なのだが・・・.今回も6頭程がカエデの葉上に居るのを確認した.ルッキングを開始して5分・・・早くもカミキリのシルエットが・・・
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お前かよ・・・ ベニカミキリ Purpuricenus temminckii Guerin-Meneville,1844.
 近くにクリの木があるので満腹になったベニカミキリもカエデで一休みしているようだ.あまりにも気温が高すぎると昆虫採集に向かないことが良く分かる.一通りカエデを見た後に先ほどの小さいカエデを確認しに行くと,大型カミキリのシルエットが.
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大きな♀個体だ.カエデに止まっている写真は初めて撮ったので嬉しい.
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アオカミキリも独特な臭いを出すが,良い匂いとは言えない.ヒメカミキリ類やトビイロカミキリ類の発する臭いに酷似している.
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卵を持っているのかお腹がパンパンに膨らんでいた.
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腹面.背面とは違い艶がある.
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エリトラに隠れている腹背板は鮮やかな紫色をしている.

 今回はアオカミキリのみが目的であったので,11時に採集を開始,14時には採集終了.何とか2桁のアオカミキリを得ることができた.社会人は体力をセーブしておかねば「死ぬ」ということを最近学習したため,この位の採集は丁度良い.明日は青く清らかな気持ちで出社できそうだ.
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by wriggle00 | 2013-06-07 19:36 | Cerambycidae

大隅のStephanidae

 つい先週,大隅のクロガネモチから羽化したStephanidae(ツノヤセバチ科)の一種は,菊池大先生によるとMegischus属のMegischus sp. ではないかとのこと.ご丁寧な意見を頂戴し,恐縮しております.
Information station of Parasitoid wasps(渡辺氏のサイトを引用します)

この検索表によると,Megischus属に落ちるためには
「前翅翅脈に1-SR-Mは存在する.前翅翅脈2-1Aは広く存在し,直線状」とある.
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こちらが本種の翅.

次に「後脚脛節は後脚腿節よりも明らかに長い」
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まぁ・・・長いな.

そして「ほおは通常広く暗色で,しばしば腹方が狭く明るい黄色となる」
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腹方が暗い黄色.

ちなみにMegischus属の特徴は,「メスの後脚付節は3節からなる.脚腿後節は腹面に2つの大きな歯をもつ.後体節第1背板は細長く,大抵長さは幅の5倍以上.」
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この個体は♀なので後脚付節は3節ある.

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後脚腿節に歯を2つ以上有する.後体節第1背板は細長い.長さは幅の5倍以上ある.

ということで菊池君の言うとおり,Megischus sp. でいいのかな?
顕微鏡の接眼レンズにカメラをくっつけて撮影したので分かりにくくてすみません
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by wriggle00 | 2013-06-03 22:43 | Parasitoids

羽化

 5月に採集してきた大隅材から早くもカミキリ達の羽化が始まりました.まだ木の中から幼虫のカリカリ音が聞こえるので長く楽しめそうである.

〔材採集:大隅半島〕
植物名:クロガネモチ
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Foenatopus sp.

出たときはParastephanellusかと思ったが翅脈で属は容易に判別できる.
ケツノヤセバチ Foenatopus cinctus Matsumura, 1918. であるとは思うが確証がない.

25.6.3 追記
菊池氏にご指摘を受け,Megischus sp. と訂正します.
ハチのパッと見同定は危険すぎる.

25.6.8 追記
さらに渡辺氏にもご指摘を受け,やはり最初に同定したFoenatopus sp. でした.

植物名:ヤブニッケイ
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トゲヒゲトビイロカミキリ Allotraeus rufescens Pic,1923.
クスノキ科なら何でもホストにしていそうなカミキリだが,特にヤブニッケイやホソバタブ,タブノキなどに多い.Ceresium属のように変な臭いを出す.

植物名:ホソバタブ
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タキグチモモブトホソカミキリ Cleomenes takiguchii Ohbayashi,1936.
ホタルカミキリ族 Cleomeniniに属するカミキリ.日本産はやや複雑な模様をしているが海外だとクビナガムシのような縦筋の入った種が多い印象.とにかく素晴らしいカミキリだ.
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裏面はコボトケヒゲナガコバネ程毛深くないが,銀色の細毛による模様がある.
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by wriggle00 | 2013-06-02 19:06 | Cerambycidae

保津峡カミキリ探索Ⅱ

やっとブログが日付に追いつきました.溜めているとだめですね・・・

6月1日
 またまたやって参りました保津峡!今回は別ルートで散策をしてきました.天気は快晴とはいかないものの清々しい陽気.仄かに初夏の香りがします.
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 今回利用した尾根林道は両側に多数のリョウブが生えており,もちろん吹き上げであるため,リョウブが開花した暁には大変なことになりそうである.ここのポイントの嬉しい所はカエデを道沿いに一定の間隔で植栽しているので,青いカミキリの絶好な発生場所になっていることだ.本日は天気が悪く1個体飛翔が見られたが,あと1・2週間後には楽園になっていることだろう.
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ヒメヒゲナガカミキリ Monochamus subfasciatus subfasciatus Bates, 1873.
 いつの間にか服にくっついていた.

 カミキリのあまり来ないバカウツギには大型の美しいジョウカイが多数来ていた.エリトラの肩の部分に強い光沢があればキンイロジョウカイと同定できる.私の好きな紫色のカラーリングなので迷わず毒瓶に入る虫だ.
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キンイロジョウカイ本州・四国亜種
Themus episcopalis purpureoaeneus Yajima et Nakane, 1988.

 本州のキンイロジョウカイは原名亜種ではなく,北九州産がThemus episcopalis episcopalis Kiesenwetter, 1874.である.ちなみに南九州だとThemus episcopalis satsumanus Nakane, 1988. という別亜種になるので面白い.緑がかった美しい紫の色合いなのだが,大隅ではヒメキンイロジョウカイしか得られなかった.残念.

 しばらく進んで行くと尾根にナラ枯れを起こしたコナラの大木を発見.カシノナガキクイムシ(以下カシナガ)による穿孔痕がたくさん残っており,枯死した原因は一目瞭然.カシナガは養菌性キクイムシと呼ばれるように体内にアンブロシア菌を持っており,坑道内に生育した菌が幼虫の資源になっている.
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このような大木をも枯らすカシナガ・・・恐ろしい.根元にフラスは溜まっていなかったことから,カシナガが侵入して間もないのだろうか.

 このようにカシナガが増えることで,得をしている昆虫も多い.まずカミキリムシ.適度に菌が回った状態で枯れ始めるのでシラケトラやキイロトラ,ミドリカミキリなどが好んで集まってくる.そして,今回大量に得ることができたこの虫.
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ルイスホソカタムシ Gempylodes lewisii Sharp, 1885.
 カシナガの坑道に侵入しようと膨大な数が材表面を歩いていた.キクイムシの坑道に侵入するため,非常に細長く,甲虫の中でも異形の形をしている.ホソカタムシの中でも群を抜いて人気なのも頷ける.
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カシナガの坑道に侵入を試みるルイスホソカタムシ.だが,先客がいたようだ.

 もう一種,カシナガの恩恵を受けていると思われる珍しい虫が得られたのだが,この虫は一度で良いから捕ってみたいと思っていた種で,まさかこのような形で出会うとは思っていなかった.東南アジアの焼畑などでは個体数は多いのだが,日本ではどういう環境で採集できるのか見当も付かなかったので,今回は良いことを知ったと思う.

 コナラ枯死木を眺めているとクロホソナガクチキが運動会を始めていた.むう,カシナガはナラ食いの穿材性甲虫にとっては神のような存在だな・・・クロホソを摘みながら樹皮をルッキングをしていると,明らかに初見である甲虫が目に付いた.
 !!??・・・一瞬思考が停止したが,脳内のカミキリリストを照合してもErrorが発生.カミキリではない.もっとよく近づいて見てみると,やっとFamilyが特定できた・・・
ヒゲナガゾウムシか!!

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ナガフトヒゲナガゾウムシ Xylinada striatifrons Jordan,1895.
すげぇ!やべぇ!!かっけぇ!!!素でこんな声を漏らしてしまった.とにかくデカい.ミツギリゾウムシに匹敵する大きさ.(横幅は遥かに本種のが大きい)
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手に持つとその大きさが分かる.
 もう今日は帰れるな・・・と帰り支度をしながら最後に樹皮の捲れた剥がせそうな部分に網を当て,クロホソの追加を狙おうとした.樹皮を剥がすとバラバラと大型甲虫が網の中へ入っていく.どうせゴミダm・・・・・・・・・
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!!!!!!??????うおおおおおお!!
 原色甲虫図鑑を参照しても「」となっている虫なのだがこれは凄い!合計で20頭近くが樹皮下に潜んでいた.ヒゲナガゾウムシのくせに夜行性なのか・・・
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樹皮下で静止している個体.

 ナラ枯れが全国的にも問題になっているので,本種のような珍品が普通種に落ちるのも時間の問題かもしれない.
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天候も雲が出てきて気温も下がってきており,クリの花も一部分しか咲いておらず,大したカミキリの追加も望めないので(何よりヒゲナガゾウによる満腹感が大きい)この時点で下山を開始.アカシジミなどの写真を撮りながら帰路に着いた.
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アカシジミ Japonica lutea Hewitson, 1865.
 学名が日本を代表している他,種小名の lutea は黄色を意味するので何処かしっくりこないチョウである.

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本日の採集品.ナガフトヒゲナガゾウムシが無ければボウズに近い内容.

やはりここは素晴らしい場所である.如何せんノリウツギやブナ等がないため,他の有名ポイントより見劣り感があるが,7月までの繋ぎには十分使える場所だと思う.
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by wriggle00 | 2013-06-02 18:25 | Cerambycidae

るり渓はいきんぐ

5月25日
 休日を利用して,南丹市園部町の南西部,深山周辺を散策してきました.
仕事の疲れもあったので今回は控えめな採集に.たまには山道をのんびり歩くのも良いものだ(長竿は持っているが).目的地として候補にしていた林道にはゲートが出来ていたが,近所の人に聞いてみたところ,車の乗り入れを牧場の所有者が規制しているだけとのことで,車を離れたところに駐車してから登れば問題ない.ゲートと言っても歩行者用の通路は確保されている.
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林道に入るとオオオサムシが出迎えてくれた.
 林道は非常に歩きやすく,木漏れ日が気持ちよかった.チョウも結構な個体数が飛んでいたが三角管を持参していなかったのでスルー.目視で確認できた種はクロアゲハ,オナガアゲハ,モンキアゲハ,カラスアゲハ,アカタテハ,ルリタテハ,コミスジ,ヤマキマダラヒカゲなど.
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ミドリカミキリが複数飛来していたアキグミ
沢山生えていたのでハットリ君材採もできそう
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ミドリカミキリChloridolum viride Thomson, 1864.
本種も他のアオカミキリ族と同じように良い香りを出す.(ただし羽化直後のみ)

 山頂付近まで登るのに2時間かからないくらいの山なので,あっという間に尾根に到着.丁度良い吹き上げの場所に満開のミズキが聳えていた.当然ランチの場所は決定.
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ミズキの下に陣をとりカミキリの飛来を待つ.サクラの花見には無い緊張感.

 飛んでいるカミキリで個体数が多いのは,やはりツヤケシハナ.次いでトゲヒゲトラである.日陰の花を掬うとマツシタトラが得られる.周辺がクヌギやコナラ主体の雑木林なので,シラケトラも多かった.
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マツシタトラカミキリ Anaglyptus (Anaglyptus) matsushitai Hayashi, 1955.
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シラケトラカミキリ Clytus melaenus Bates, 1884.
 
 時間は正午.お馴染みのカミキリも殲滅し,花を見ながら昼食を食べる.やたらと動きの速い寄生蜂の様な昆虫が花の上に飛来し始めた.触角の先端が白く,それを小刻みにドラミングさせているところを見ると,どうやらヒメバチの様だ.w辺さん用に生態写真でも撮っておくか・・・
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ここにも・・・
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ここにも・・・・・・
おおお,素晴らしい.ムネマダラヒメバチだ.訪花している写真は初めて撮れたので嬉しい.
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ムネマダラトラカミキリ Xylotrechus grayii grayii White,1855.
近畿はどうやら本種の個体数は多いようだ.花以外でも葉状に静止している個体を複数見かけた.

 今回尾根で咲いていたのはこのミズキだけだが,林道沿いにクリも多数あったので6月中旬あたりは最高だろう.上空を旋回していたミズキの精霊もネットインし,ヨコヤマトラ狙いでクリの葉をスウィーピングしながら下山した.
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フタコブルリハナカミキリ Stenocorus caeruleipennis Bates, 1873.
こいつが発生したということは本シーズンの始まりと思って間違いない.アオカミキリやムナコブハナなどの大型美麗種の発生も目前だ.

 帰り道に伐採地を見つけたのでルッキング.
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ここではツマグロハナ,ニンフホソハナ,ミドリ,ムネマダラトラが飛び回っており,クビアカトラ,キイロトラ,エグリトラなどが大運動会をしていた.目ぼしい種は居なかったので1時間程で終了.
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クビアカトラカミキリ Xylotrechus rufilius Bates, 1884.

 かなりゆるゆるな採集でしたが,疲労回復はできたので良し.やはりフィールドが一番癒される.来週はどこへ行こうかな.
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by wriggle00 | 2013-06-02 11:17 | Cerambycidae

大隅春の材祭り

5月12日
 5月連休中どうしても行きたい場所があった.九州の南端,大隅半島である.この地は多数の特産種を産し,昆虫相も琉球,奄美要素を受けていて非常に興味深い所である.それ故にカミキリ屋さん達に人気の採集スポットである.
 これからの時期,長期的な休暇は期待できないので,春のうちに大量に材採をして置けばわざわざ成虫を捕りに行く必要がなくなると考え,(本当はLTが死ぬほどしたい)さらに,この時期に大隅に入る虫屋は少ないため,面白い種が捕れると予想して採集を決行した.
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 まずは関空から「虫屋の味方」peachを利用して鹿児島空港まで.ほんの2時間程で現着.速攻でレンタカーを借り,本土最南端を目指して進む.
 道中,開花していた花はガマズミ,ミズキ,スダジイなど.特にシイ類は満開の状態に当たった.これは期待できる.まぁ・・・今回は材採メインだからスルー・・・・・という訳がない.道路脇に咲いている花は各駅停車で掬っていく.まず開幕で驚いたのがハナムグリ・コガネの種類だ.本州でガマズミを掬えば大抵コアオハナムグリかアオハナムグリがわんさか入るが,ここではジュウシチホシハナムグリばかり.うひょーーーー!!と言いながらすべて回収.
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ジュウシチホシハナムグリ
Paratrichius septemdecimguttatus Snellen Van Vollenhoven, 1864.
 この種がここまで個体数が多いとは思わなかった.体色も赤色型と黒色型があり,虫屋を飽きさせない気配りができている.
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カーブ終わりに花があると急ブレーキに繋がります.お気を付けください.

 桜島を通過した辺りから常緑広葉樹の深い森が濃くなってくる.開花時期の照葉樹林はまさに金色の野である.目的地の山塊が見えてきた辺りで,私の長竿の有効射程内に届くであろうシイを発見.早速飛翔しているカミキリから攻撃開始.花の周りを飛んでいるのは殆どがタテジマホソハナだった.ニンフではないだけまだましだが,まあ今の季節はこんなものだろう.
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タテジマホソハナカミキリ Parastrangalis tenuicornis Motschulsky, 1861.
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ミヤマクロハナカミキリ Anoploderomorpha excavata Bates, 1884.
 その他,大量のPidoniaが入ったが,写真は無し.キュウシュウヒメハナ以外は本州にもいる種が殆どであった.花の上の方を見ると何やら赤いカミキリが飛んでいるのが確認できるが,なかなか低い位置に降りてこない.種を想像して妄想を膨らませながら待つ.最終的にはモウセンハナカミキリと決めつけ,下降してきたところを一気にフルスイング!
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ヘリウスハナカミキリ Pyrrhona laeticolor laeticolor Bates, 1884.
 ああ,君か.がっかりだよ・・・まあ近くにタンナサワフタギがあるいい目安になりましたよ.キュウシュウトガリバも欲しいからね.私は.
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♀個体.どうやら日が暮れてくると個体数が増すようだ.
 今回は鹿児島自体に着いたのが13:30と遅めで,シイを掬っているうちに日が暮れ始めたためこれで採集終了.温泉に入り明日行動する材採ポイントで車中泊.沢にビールを冷やし,ソーティングをしながら夜を過ごした.
5月13日
 朝日で目覚める.とても心地よい気温で,車内でもぐっすり眠れた.朝日を浴びながら寝起きの一服をしているとアカメガシワに虫のシルエット.!!!トラニウス!?早すぎだろ!!・・・と興奮したが,オナガキバチの♂であった.本当に紛らわしい.
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オナガキバチ Xeris spectrum spectrum Linnaeus, 1758.
キバチは好きで集めてはいるがこのグループの♂のつまらなさは異常.♀はあんなにかっこいいのになぁ.
 気を取り直して本日はメインの材採集の日.狙いの材はタンナサワフタギ,ヤブニッケイ,ホソバタブ,ハイノキ,クロキ,マメガキ,ヤブツバキ,その他.よく採集されている樹種なので何のホストになっているかは説明不要ですね.
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この山は尾根沿いまで伐採された形跡があり,その奥は深い森になっている.この明るい場所と暗い場所の境目,かつ尾根筋こそ一番虫が多いポイントだと思う.
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見た目歩きやすそうな山に見えたが,一面がバラの群落であった.体中が傷だらけになったが材のためだ・・・普通の山なら15分くらいで登れる距離だが,1時間以上を費やしてしまった.やっとのことで尾根に到達.もののけ姫の巣のような岩があったので見下ろして記念撮影.ここでライトをやってみたい・・・
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 尾根に到着すると案の定吹き上げになっており虫の数が違う.目的の材を得るため斜面を登ったり下りたりを繰り返し,状態の良いクスノキ科の倒木を発見.
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周辺に独特の香りが広がっており,大量の木粉が噴出している.
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入刀!!!
 樹皮下の食痕はすべからくトゲヒゲトビイロなので無視.心材部の穿孔痕が多い部分だけを切り分ける.冬の材採では大人しいカミキリ幼虫も今の時期は食べ盛りなのか非常に元気.ちなみに殆どがカミキリ亜科の幼虫だ.流石大隅.
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切り分けた材.ヤブツバキ以外はある程度の数を揃えることができた.ヤブツバキはオオスミミドリのホストとなっているのだが,木の数が多すぎて食痕が全くない場合が多かった.古めの材から食痕を見出したが,そこまで期待はしていない.

 尾根から車まで未解体の倒木を引きずりながら2往復程していたので体力は限界.材採終了後は海岸沿いをのんびり探索.私の好きなある虫が沢山発生していた.
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ニホンホホビロコメツキモドキ Dauledaya bucculenta Lewis, 1883.
5月14日
 最終日.この日は中途半端な時間に飛行機が飛ぶために殆どが移動時間と材の郵送作業で終了.クスノキ科だけで15kgあったのでパッキングがかなりしんどかった.さらに,かなりの炎天下ということで,カミキリではなくタマムシ採集などをして大阪へと帰りました.
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アオマダラタマムシ
Nipponobuprestis amabilis Snellen von Vollenhoven, 1864.
個人的には日本でトップクラスの美麗種だと思っているタマムシ.西日本では個体数は少なくないが,関東では少ない.

今回の採集の成果は材にかかっているので,羽化し次第報告いたします.黄色いカミキリは出てくれるでしょうか.
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by wriggle00 | 2013-06-01 21:32 | Cerambycidae