蠢蝦螽蟷昆蟲記

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隙間に潜む暗殺者

クチキゴミムシ Morion japonicum (Bates, 1883)

沖縄本島にて採集.

こちらもホソキボシアオと共にかなり好きなゴミムシ.
Catascopus程ではないがかなり素早い動きをする.常に物陰に隠れようとするシャイな子.
ゴミムシには珍しく横移動が可能.どの角度からでも樹皮下に入り込むことができる.
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全国的に珍しい種.朽木の奥深くに入っている訳ではなく,手で剥がせる程度の部分にいることが多い.
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前脚脛節の形状が素晴らしい.頭部も大きく顎の力も強い.樹皮下に棲む昆虫類にとっては脅威となるだろう.
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今回の生息環境はジュウジエグリゴミムシが多数いる様なシイ類の立ち枯れ.根元付近のシロアリ営巣部に複数個体を発見.好白蟻性ではないにしろ何か関連はありそうな予感.重要な餌資源になっているのかも知れない.

匂いはクロカタビロ・ナガゴミとアトキリ系統の匂いを混ぜた感じ.良い匂い.
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by wriggle00 | 2015-05-15 18:25 | Carabidae

芒と共に生ける者

私の最も好きなゴミムシであるホソキボシアオゴミムシの生態写真が撮れた.以前の記事にて多少は触れている虫だが,当時は捕獲するのに必死で生態写真を撮る暇など無かった.動きが恐ろしいほど速く捕獲には相当な困難を要する.
本種はススキ等の草本上及び周辺に生息し,成虫は主に鱗翅目の幼虫を捕食している.日中はススキの茎と葉の隙間や根元付近の隙間に身を隠している.夜間は捕食・配偶行動を盛んに行い,根元から葉先を往復するように移動しながら他株へと移動する.

本種を含むSubgenus Lissaucheniusが葉上生活に特化しているという訳ではなく,Subgenus Chlaenioctenusの中にも本種のような形態を持つ種がいるが,実際に生態を観察したわけではないので非常に気になるところ.タイ・ラオスでは本種と同様にススキを生息場所とする種を採集したことがあるので,東南アジア一帯にはかなりの種がいる模様.

台湾にはSubgenus Lissaucheniusに含まれるチュウジョウアオゴミムシ Chlaenius (Lissauchenius) chuji (Jedlicka, 1946)が生息しており,同様の生態を持つ.かつて我国のホソキボシアオゴミムシがチュウジョウアオゴミムシとされていた時代もある.台湾においてもホソキボシアオゴミムシが生息している可能性はあるので,是非とも調査をしたい.(Web上には台湾産のホソキボシアオゴミムシと思われる個体の写真があるのだが,符節・脛節の全てと腿節の一部が黒化していた.これは琉球産スジアオゴミムシ・コキベリアオゴミムシにも同じ色彩変異が見られる.)

ホソキボシアオゴミムシ Chlaenius (Lissauchenius) rufifemoratus (Macleay,1825)
沖縄本島にて.

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本種を採集するためにはビーティングネットの使用が最適.ススキの根元にビーティングネットを敷き,ススキを複数束ねてからかなり強い力で叩く.一撃で落とし,すぐさまネットを引き抜かなければ,ネットから直ぐに逃げてしまう.そのくらい高速なのである.夜間ならば徘徊している個体を素手で捕らえるとも可能.珍品とされているものの,採集法をマスターすればきっと何処でも捕れるに違いない.
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長い後脚を巧みに使い,細いススキの茎を高速移動する.他のアオゴミムシには絶対に出来ない芸当だ.
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ススキの葉中に潜り込んでいる個体.日中は大抵こうやって過ごしている.
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気になる匂いは他のアオゴミムシ類と変わらなかった.
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逆さまでも難なく歩行できる.捕食シーンを観察できなかったのは残念でならない.
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by wriggle00 | 2015-05-15 17:58 | Carabidae

現れた幻

沖縄より帰還しました.

ポイント探索に手間取り目的のネキは♀1頭のみ.
来年も挑戦することは言うまでもない.

ネキ以外の昆虫もかなりの豊作.採集記はまた後程...
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ネットに入った瞬間の感覚は,得たものにしか分からない最高の快感.
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オキナワホソコバネカミキリ Necydalis tamakii Ikeda et Matsumura, 2014.
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とりあえず無事に目的を達成出来ました.ギガンティアの発生期までは採集はもういいかな...
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by wriggle00 | 2015-05-10 19:25 | Cerambycidae

懐かしき熱帯の地

長い期間更新できず申し訳ありませんでした.

更新不能期間にも勿論採集には行っておりましたので,徐々に報告していきます.

とりあえず最近の大きな遠征は3月14~19日で実施したマレーシア採集.多数の固有種,大自然を堪能することができた.

訪れたのはマレーシアの軽井沢的なキャメロン・ハイランド.年間を通じて過ごしやすい気温が続き,避暑地として多くの観光客が訪れる場所だ.

観光地ながら,標高が高い場所なので生息する昆虫類も独自のものが少なくない.今回はGunung Brinchangの雲霧林で固有種のカミキリ,ポイント19マイル(Tanah Rataから約30Km地点にある蝶で有名なポイント)周辺でのライトトラップをメインに調査を行った.
メインターゲットは雲霧林に生息する飛べないカミキリの一群「Obages属」のカミキリ達.日本のセダカコブヤハズに似た形態をしているのが特徴.ひたすらビーティングをして採集する様子もコブに似ている.

今回は現地での活動状況と虫をちょっとだけUP致します.

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 Gunung Brinchangにて.アカガネカミキリ族の固有カミキリObagesを狙っている.
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 Brinchang町の夜市.様々な果物や伝統的な料理を食べることができた.
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 宿でのソーティングの状況.ある意味一番楽しい時間かもしれない.
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 Point 19milesの入り口にて.この村の主産業は昆虫を売ること.現金収入は虫を売った金のみらしい.
 集落を抜けた先の沢沿いには多くの蝶が飛来しており,道を歩いていると村人が昆虫を売ってくることもしばしば.
 大抵クワガタ・カブト・コノハムシ類で私のあまり興味のない虫ばかりだが,一応注文には応じてくれる.
 虫=金と言う価値観が好ましくないので,利用することはないが.
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 アカエリトリバネアゲハ Trogonoptera brookiana Wallace,1855. 
 19miles周辺に多く生息している大型の蝶.圧倒的な存在感.
 ワシントン条約 附属書IIに記載されているにも拘らず,村人は平気で売ってくる.
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 Hyphus apicalis Pascoe, 1869. 
 Tanah Rataの外灯にて拾った.
 初見はウスバカミキリかイエカミキリの仲間かと思ったが,よく見るとXystrocerini(アオスジカミキリ族)であった.
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 巨大なウスバカミキリの1種 19milesに程近いOrang asli villageにて.噛まれたら間違いなく出血する.
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 モセリオウゴンオニクワガタ Allotopus moellenkampi moseri Moellenkamp, 1906.
 Orang asli villageにて.眩いばかりの光沢を持つが高多湿条件だと真っ黒になる.奇声を上げたのは言うまでもない.
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 マレーテナガコガネ Cheirotonus peracanus Kriesche, 1919.
 Tanah Rataの病院にて徘徊中,空気の読めない警備員が拾ってきた.自分で見つけたかったので本当に余計なことをしてくれた.まさかまだTanah Rata周辺に生息していたことが驚きである.最近Tanah Rata・Brinchangはかなり開発が進んできており,森林を伐採しショッピングモールを建設中の場所もあった.光源に寄せられて多くの虫が踏み潰されるであろう.

とりあえずミーハーなものはこんなところ.
カミキリやその他甲虫類は徐々に投稿していきますので,お楽しみに.

GWは沖縄本島にて「奴」を狙います.5月5日~10日を予定しております.
虫屋の皆様,現地でお会いしましたらよろしくお願いいたします.

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by wriggle00 | 2015-05-02 18:38 | Malaysia