蠢蝦螽蟷昆蟲記

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大隅春の材祭り

5月12日
 5月連休中どうしても行きたい場所があった.九州の南端,大隅半島である.この地は多数の特産種を産し,昆虫相も琉球,奄美要素を受けていて非常に興味深い所である.それ故にカミキリ屋さん達に人気の採集スポットである.
 これからの時期,長期的な休暇は期待できないので,春のうちに大量に材採をして置けばわざわざ成虫を捕りに行く必要がなくなると考え,(本当はLTが死ぬほどしたい)さらに,この時期に大隅に入る虫屋は少ないため,面白い種が捕れると予想して採集を決行した.
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 まずは関空から「虫屋の味方」peachを利用して鹿児島空港まで.ほんの2時間程で現着.速攻でレンタカーを借り,本土最南端を目指して進む.
 道中,開花していた花はガマズミ,ミズキ,スダジイなど.特にシイ類は満開の状態に当たった.これは期待できる.まぁ・・・今回は材採メインだからスルー・・・・・という訳がない.道路脇に咲いている花は各駅停車で掬っていく.まず開幕で驚いたのがハナムグリ・コガネの種類だ.本州でガマズミを掬えば大抵コアオハナムグリかアオハナムグリがわんさか入るが,ここではジュウシチホシハナムグリばかり.うひょーーーー!!と言いながらすべて回収.
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ジュウシチホシハナムグリ
Paratrichius septemdecimguttatus Snellen Van Vollenhoven, 1864.
 この種がここまで個体数が多いとは思わなかった.体色も赤色型と黒色型があり,虫屋を飽きさせない気配りができている.
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カーブ終わりに花があると急ブレーキに繋がります.お気を付けください.

 桜島を通過した辺りから常緑広葉樹の深い森が濃くなってくる.開花時期の照葉樹林はまさに金色の野である.目的地の山塊が見えてきた辺りで,私の長竿の有効射程内に届くであろうシイを発見.早速飛翔しているカミキリから攻撃開始.花の周りを飛んでいるのは殆どがタテジマホソハナだった.ニンフではないだけまだましだが,まあ今の季節はこんなものだろう.
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タテジマホソハナカミキリ Parastrangalis tenuicornis Motschulsky, 1861.
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ミヤマクロハナカミキリ Anoploderomorpha excavata Bates, 1884.
 その他,大量のPidoniaが入ったが,写真は無し.キュウシュウヒメハナ以外は本州にもいる種が殆どであった.花の上の方を見ると何やら赤いカミキリが飛んでいるのが確認できるが,なかなか低い位置に降りてこない.種を想像して妄想を膨らませながら待つ.最終的にはモウセンハナカミキリと決めつけ,下降してきたところを一気にフルスイング!
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ヘリウスハナカミキリ Pyrrhona laeticolor laeticolor Bates, 1884.
 ああ,君か.がっかりだよ・・・まあ近くにタンナサワフタギがあるいい目安になりましたよ.キュウシュウトガリバも欲しいからね.私は.
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♀個体.どうやら日が暮れてくると個体数が増すようだ.
 今回は鹿児島自体に着いたのが13:30と遅めで,シイを掬っているうちに日が暮れ始めたためこれで採集終了.温泉に入り明日行動する材採ポイントで車中泊.沢にビールを冷やし,ソーティングをしながら夜を過ごした.
5月13日
 朝日で目覚める.とても心地よい気温で,車内でもぐっすり眠れた.朝日を浴びながら寝起きの一服をしているとアカメガシワに虫のシルエット.!!!トラニウス!?早すぎだろ!!・・・と興奮したが,オナガキバチの♂であった.本当に紛らわしい.
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オナガキバチ Xeris spectrum spectrum Linnaeus, 1758.
キバチは好きで集めてはいるがこのグループの♂のつまらなさは異常.♀はあんなにかっこいいのになぁ.
 気を取り直して本日はメインの材採集の日.狙いの材はタンナサワフタギ,ヤブニッケイ,ホソバタブ,ハイノキ,クロキ,マメガキ,ヤブツバキ,その他.よく採集されている樹種なので何のホストになっているかは説明不要ですね.
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この山は尾根沿いまで伐採された形跡があり,その奥は深い森になっている.この明るい場所と暗い場所の境目,かつ尾根筋こそ一番虫が多いポイントだと思う.
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見た目歩きやすそうな山に見えたが,一面がバラの群落であった.体中が傷だらけになったが材のためだ・・・普通の山なら15分くらいで登れる距離だが,1時間以上を費やしてしまった.やっとのことで尾根に到達.もののけ姫の巣のような岩があったので見下ろして記念撮影.ここでライトをやってみたい・・・
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 尾根に到着すると案の定吹き上げになっており虫の数が違う.目的の材を得るため斜面を登ったり下りたりを繰り返し,状態の良いクスノキ科の倒木を発見.
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周辺に独特の香りが広がっており,大量の木粉が噴出している.
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入刀!!!
 樹皮下の食痕はすべからくトゲヒゲトビイロなので無視.心材部の穿孔痕が多い部分だけを切り分ける.冬の材採では大人しいカミキリ幼虫も今の時期は食べ盛りなのか非常に元気.ちなみに殆どがカミキリ亜科の幼虫だ.流石大隅.
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切り分けた材.ヤブツバキ以外はある程度の数を揃えることができた.ヤブツバキはオオスミミドリのホストとなっているのだが,木の数が多すぎて食痕が全くない場合が多かった.古めの材から食痕を見出したが,そこまで期待はしていない.

 尾根から車まで未解体の倒木を引きずりながら2往復程していたので体力は限界.材採終了後は海岸沿いをのんびり探索.私の好きなある虫が沢山発生していた.
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ニホンホホビロコメツキモドキ Dauledaya bucculenta Lewis, 1883.
5月14日
 最終日.この日は中途半端な時間に飛行機が飛ぶために殆どが移動時間と材の郵送作業で終了.クスノキ科だけで15kgあったのでパッキングがかなりしんどかった.さらに,かなりの炎天下ということで,カミキリではなくタマムシ採集などをして大阪へと帰りました.
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アオマダラタマムシ
Nipponobuprestis amabilis Snellen von Vollenhoven, 1864.
個人的には日本でトップクラスの美麗種だと思っているタマムシ.西日本では個体数は少なくないが,関東では少ない.

今回の採集の成果は材にかかっているので,羽化し次第報告いたします.黄色いカミキリは出てくれるでしょうか.
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by wriggle00 | 2013-06-01 21:32 | Cerambycidae