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蠢蝦螽蟷昆蟲記

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掘祭【葛城・金剛編】

1月11日

待ちに待った3連休2か月ほど前から計画を立てていた近畿でのオサ掘りが実現した.大学を卒業してからは単独での採集が多く,ましてや大学時代の戦友達と手鍬を交えることも少なくなってしまっていた.私が大阪にいる期間も残り少ないので,どうせなら皆を呼んでしまおうというのが企画の発端.

11日,早朝,梅田駅に懐かしい顔ぶれが.今回参加したのはS田(外道の方),T盤,M岡,A森(こいつとは頻繁に採集してるので懐かしくない).尚,T盤については遅れるという連絡があったため,採集地である大和葛城山の最寄り駅に集合というペナルティを科した.移動中の車内は外道チョイスのアニソンが鳴り響く.

9時半,現地に到着.ロープウェイで天界へと赴く.学生時代なら金がないので間違いなく自力で登ったものだが,社会人は時は金なり.文明の利器は惜しみなく使う(メンバーの大半が車に財布を忘れたため全て外道が支払った).方舟を降りると予想外の事態.
一面の雪化粧である.
大阪近辺だから積雪はまずないと舐め腐っていたため,いろんな意味で開幕から足元を掬われた.

雪がなんぼのもんじゃーい!!と一同は崖に向かって突撃!交戦状態に入る!!
手鍬が弾かれようがお構いなし.凍結している際は表層を軽く削っていればオサムシの
越冬窩はすぐ見つかる.出てくるオサムシで一番多かったのはやはりオオクロナガ.常に周囲はこいつの匂いが漂っていた.
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オオクロナガオサムシ
 Carabus kumagaii kumagaii
Kimura et Komiya, 1974

もうクロナガでも楽しい.やはり「捕りニケーション」は大切である.
オオクロナガはもはやどこにでも入っている様子.いい加減鬱陶しくなってきたため,苔が生えているような水分が十分にある崖を探す.苔が生えている崖はかなりカチカチに凍結しているため,予想以上に苦戦を強いられた.それでも皆黙々とオサムシを追加している.流石は農大昆研.私は学生時代に戻ったようで,終始懐かしさで一杯だった.
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イワワキオサムシ Carabus iwawakianus Nakane, 1953
今回の感じだとそこまで個体数は多くない印象.掘り出した時に裏返っているとドウキョウに見えて若干イラつくが良いムシ.初めは小さいドウキョウか,ミナミヤマトの大型個体かと思った.
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迷った時はゲニを見れば一目瞭然.

オサムシを崖から掘り出すと必ず斜面側に頭を向けているが,何か理由があるのだろうか.潜り込む際は頭から入るはずなので,越冬窩内でわざわ方向転換をするのは興味深い.
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オオオサムシ Carabus dehaanii Chaudoir, 1848
ここではオオクロナガに次いで大型の種.しかしゲニは並サイズ.オオオサはチュウブか淡路の個体が美しくて好きだ.福江島の個体も欲しいところ.
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アキタクロナガオサムシ
Apotomopterus porrecticollis porrecticollis Bates,1883
関東地方
の河川敷などでは朽木で捕れるイメージが強いが,今回は崖から得られた.個体変異だとは思うが関西のアキクロはマイマイと同じで黒っぽい印象(関西の個体は数を持っていないので根拠はない)

ドウキョウ狙いでひたすらカチカチの苔を掘削していると,小型のオサムシがぽつぽつ捕れはじめた.ヤマトオサムシの亜種,ミナミヤマトオサムシである.捕れ方がシズオカ狙い時のルイス,またはチュウブオオオサのマルバネに似ている.
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ミナミヤマトオサムシ 【通常色】
Carabus (Ohomopterus) yamato kinkimontanus Imura & Mizusawa, 2002
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ミナミヤマトオサムシ 【暗緑色型】
C.yamato kinkimontanus Imura & Mizusawa, 2002
小型のたくさん出るオサムシは大抵レアカラーが存在しており,それを集めるのも楽しい.エサキでも緑とか青が出る位なので,本種も色彩のバリエーションが多そうだ.ちなみにオサムシ図鑑をまだ買えてないのでさっさと入手したい.

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次に目を付けたのは写真のようなササが生えている崖.根をつたって多数のオサムシが越冬することだろう.絡み合っている地下茎を揺するとミナミヤマトに混じって中型のオサムシが「ポトッ」と土の上に落ちた.
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これは・・・奴か?
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間違いない.メインターゲットを達成!
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ドウキョウオサムシ 【黒色型】 Carabus uenoi Ishikawa, 1960

今回捕った個体は全てゲニを抜いて確認したのだが,赤いタイプも出るんですね.ドウキョウは黒い個体しかいないと思っていたので驚いた.赤い個体は適当にドウキョウの色変わりか他のなにがしかのオサムシだと思い込んでおり,ゲニを出した時に驚愕した.
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ドウキョウオサムシ 【赤褐色型】 C.uenoi Ishikawa, 1960
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右:イワワキ,左:ドウキョウ
どんだけデカいんだよ・・・・

皆がドウキョウを仕留めた辺りで採集を切り上げる.最後に倒木からホンマイマイを追加して帰路に着いた.
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ホンマイマイカブリ
Carabus (Damaster) blaptoides Kollar, 1836

葛城・金剛のオサムシはこれで全種かな・・・?・・1種足りない?ああ,ヤコンね・・・

淡路島編につづく・・・・

# by wriggle00 | 2014-02-01 22:54 | Carabidae

2014年初蟲

遅くなりましたが,あけましておめでとうございます.

正月は実家で色々記事を書こうと意気込んでいたものの,持参したWiMAXの通信エリア外というまさかの展開により新年の挨拶も投稿できずに2014年を迎えました.

今年の目標としては,やはり更新頻度を上げることを第一目標に致します(笑)
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さて,実家では毎年恒例のMYマイマイポイント開拓へ行ってきました.
近畿地方でホンマイばかり捕っていたので多彩な色彩の北関東のマイマイの有り難みが良く分かった一年でした.手始めに集団越冬を2,3個当てただけで相当な個体数になってしまった.なんとなく緑型の多いポイントは分かってきたのだが,ここはなんと50%以上が緑系の色彩であった.
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倒木中の集団越冬.
たまらん!!仕事の疲れが一気に解放されていく・・・やっぱり虫捕りをしないと体が持たない.実家で餅を食い過ぎたのでカロリー消費にも採集はうってつけだ.
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ああああぁぁ・・・綺麗
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今回のエース候補.


以下,白バック写真の練習.なかなかうまくいかんもんですなぁ・・・
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ミヤママイマイ ノーマルカラー
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ポージング失敗
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青+紫
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グリーンマイマイ
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深緑(今回のお気に入り)
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渋くて素敵.
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グラデーション
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今年も一年間,当ブログを宜しくお願い致します.

# by wriggle00 | 2014-01-31 23:31 | Diary

淡路セダカ

10月14日
 コブを叩きたい衝動に駆られ,淡路島へ強行.
明石海峡大橋は渡るだけでかなり金がかかるのだが,セダカのためなので仕方ない.目指すのは島の中心にある言わずと知れた某山.一部を除いてかなり乾燥していて,依然訪れた際は本当にコブがいるのか疑ったほどだ.
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山の手前でミツバチの分蜂に遭遇.狙って見れるものではないので嬉しい.
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山を登っていく.通常のセダカ採集のような「これはいる!」という感覚が皆無.
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シケた林道に到着.このエリア以外はクソみたいに乾燥していて虫の影が一切なかった.よくもまあこんなところに生息しているものだ.林内に入るとアオキ,ソヨゴなどの常緑樹が多く薄暗い.アオキの枯葉にはツチイロフトヒゲカミキリが良く潜んでいる.
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ツチイロフトヒゲカミキリ Dolophrades terrenus Bates,1884
長年欲しかったカミキリではあるが,コツをつかめばそう難しい種類ではないことが判明.湿度が高い沢沿いか,風にさらされない程度に低木が密生した場所を見つけるのがポイント.
※今回の虫の写真は採集後に撮ったやらせです.

 ツチイロフトヒゲはそこそこいるが,やはりセダカは少ない.偶然にも1頭アオキに引っ掛かった枯葉で得ることができたが,かなり小さい個体であった.より良い条件の箇所を探して森の中を彷徨った結果,セダカの要塞ともいうべき物件が現れた.
 種類は判らないが多数の蔓植物が絡み合い,林冠から地上へまるで「すだれ」のように垂れており,地面すれすれのところに空間ができ,まさにここにビーティングネットを差し込んでくださいと言っているような物件であった.おまけに沢沿いで湿度MAX!
試に一叩きしてみると・・・・・・あんなに苦労して探していたセダカが一気に6頭も落ちてきた.ツチイロも同様に7頭も・・・
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セダカコブヤハズカミキリ Parechthistatus gibber gibber Bates,1873

6頭のうち3頭が大型の♂個体.これは嬉しい.気を良くして周辺をくまなく叩きまくったが,結局このポイントのみで追加は叶わなかった.

最終的にツチイロフトヒゲは25exs, セダカは7exs. 今年はあまりコブ叩きに行けなかったが最後に良い思いができてよかった.今後乾燥化が進めば淡路島の原名亜種はさらに捕りにくくなるのは間違いない.
# by wriggle00 | 2013-12-12 00:40 | Cerambycidae